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Forest Instructor Association of Japan

第3回 〜木育の課題と新たな取組〜

執筆:工藤森生氏(北海道8-0526)

木育の課題

 道では、全国に先駆けて「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」(通称:北海道子ども未来づくり条例)を制定し、これを背景に「子ども未来の森林づくり推進事業(木育事業)」が道単独事業として予算化されスタートしたわけですが、木育事業を進めていく過程でいくつかの課題が見えてきました。
 スタートした当初は、木育に関する道の予算が決まり、事業が展開され、国の「森林・林業基本計画」には「木育」という言葉が明記されるなど、順調な滑り出しをしましたが、道としては、このまま進んで良いのか悩むようになります。
 木育は、様々な職種の方をメンバーに木育推進プロジェクトチームを立ち上げ、多くの時間と手間を要して作り上げたわけですが、今後、普及啓発を進める過程で、だれがどのように広めていくのかということが課題となってきました。
 道では、この課題解決に向けて、新たな取組をスタートすることにしました。

新たな取組  〜「木育達人(木育マイスター)入門」の作成〜


 木育は、道が主体となって、スタート時から3年間を計画的に進行管理を行いながら取り組んできたわけですが、次のステップをどうするのか考える時期がやってきました。
 そこで、「木育推進プロジェクトチーム」のメンバーに今後の展開をどのようにすべきか、意見を聞きますと、「普及啓発を行政のみで進めるのは限界がある」「木育の専門家を育成することが必要」「人材を育成する前にプログラムをつくる必要がある」との意見が出されました。これらのことから、先ずは、人材育成の教科書となるプログラム開発をすることとし、「木育プログラム等検討会議」を開催することになりました。

【木育プログラム等検討会議】
委員長 宮本 英樹 (NPO法人ねおす専務理事) 
委 員(五十音順)
川等 恒治 (北海道立林産試験場企画指導部デザイン科研究職員)
煙山 泰子 (KEM工房主宰・木育ファミリー代表)
佐藤 孝弘 (北海道立林業試験場森林環境部主任研究員)
須田 修司 (家具工房 旅する木)
西川 栄明 (ノンフィクションライター)
根井 三貴 (北海道網走東部森づくりセンター普及課林業普及指導員)
長谷川敦子 (NPO法人北海道子育て支援ワーカーズ)
吉田 裕二 (北海道胆振森づくりセンター普及課長)
 
 

 メンバーには、「木育推進プロジェクトチーム」のメンバーを中心に、新たな体制で検討がなされ、白熱した会議は、年間6回も重ねることにました。
 その結果、木育に関心のある方から、木育の達人を目指す方まで、幅広い層の皆さんに参考にしていただけるよう北海道の木育の教科書となる「木育達人(マイスター)入門」を平成21年度に作成することができました。
 「木育達人(マイスター)入門」には、木育の理念やプログラムの伝え方・つくり方のほか、森林や樹木、林業・林産業、人の成長の過程など多くの知識・情報が詰まっていますので、ぜひご活用ください。道のHP(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/sky/mokuiku/mokuikumaisuta-nyuumon.htm)で見られます。

 「木育達人(マイスター)入門」  


新たな取組  〜木育マイスター育成事業〜

 

 道では、平成21年度に木育のバイブルとなる「木育達人(木育マイスター)入門」を発行して道民への理解と普及を図るとともに、これを教科書として平成22年度からは、木育を普及させる専門家 として「木育マイスター」を育成し認定しています。
 木育マイスターは、ある分野(森のこと、木工についてなど)の専門的知識を持ち、企画力やコーディネート力のある人材で、自分の得意分野でない活動をする際には、その分野に強い方の協力を得てプログラムを組み立てるようにします。学校や団体から依頼があれば、木育プログラムの企画立案や運営実施のアドバイスやプロデュースをします。自ら活動を行う場合もあります。
 木育マイスターになるためには、年度内に2日間の研修を2回、OJT(現場研修)を1回以上受講しなければなりません。研修内容は、木育の理念に始まり、クラフトづくり、森林・林業・木材産業などの講義及び実習と多岐にわたります。
 募集人数は、20名でありますが人気が高く、抽選をしなければならない状況で30名を超える応募があります。最近では、本州からの受講希望の問い合わせも多くありますが、北海道在住の方に限らせていただいています。平成27年度は、23名の木育マイスターが誕生しており、総勢176名となりました。今後も毎年20名程度を育成する予定です。
 平成23年度からは、木育遊具導入施設へ木育マイスターを派遣する普及促進事業を始めていましたが、最近では、木育マイスターが主体的に地元の企業や団体からの依頼を受け、イベントを行うようになってきています。企業や団体等に対し、道が木育マイスターの売り込みを地道に行ってきた一つの成果でもあると考えています。
 このように木育の展開は、行政主導型から民間主導型へ移行しつつあります。行政が強制的に動かすのではなく、木育マイスターが自ら考え、動く、そして楽しむという自立化が少しずつ進んでいるのです。
 私としては、このような状況を持続させるためには、行政が必要な情報をより早く正確に発信し、木育マイスターと企業や団体等とを結び付けることがますます重要と考えています。
 次回は、木育マイスターの活躍ぶりを紹介します。

 

参考 〜H27研修・カリキュラム〜


【第1回目(2日間)】
 カリキュラム  内容  時間  会場
 木育はつながりのキーワード゙
〜プログラムの伝え方〜
 体験から概念へとつなげていく学習法  1H 霧多布湿原センター    
木育の理念  木育が生まれた背景と現在の位置づけ  2.5H
木と生きる・人の成長と木の関係  子どもの発達の特性と過程、
人を癒やす木の働き
 2H
木とふれあい、木に学ぶ 森林の定義、北海道の森林の特徴、
材の構造と性質森林ボランティアの今、
霧多布の特徴と取組(地域カリキュラム)
 4H
 木と生きる・暮らしと産業  枝打ち体験、トドマツ林の利用計画  2.5H

【第2回目(2日間)】
 カリキュラム  内容 時間  会場
 木と生きる・暮らしと産業 生活の中の木、木の道具、
林業・木材産業の今
 6H 釧路工業技術センター、
丸善木材(株)他
 木育はつながりのキーワード゙ 伝える技術、
プログラム作りで大切にしたいこと、
プログラム作りの基礎、
模擬演習
 7H  釧路市宿泊施設内


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