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Forest Instructor Association of Japan

東京・西多摩式運材図絵 2

 〜最後の木屋師・久保田喜助の技〜

執筆:羽鳥孝明氏(東京5-0145)

リンギリ

 正確には「リン」という方が多い。「リン組」「リンギリ」ともいう。
 西多摩地域特有の伐倒技術のようである。八王子市にある高尾山の山で作業をしていて、リンを作っていたら、「ありゃ、西多摩の方のがやってんだんべぇ」といわれたと、青梅市の作業員の人の話がある。西川林業地(埼玉県西南部)でもリンをくむところはあるが、「明治時代に五日市町の人が来て、このようなやり方を教えていった」という話を聞いたと話をしてくれた人がいた。西川林業地と青梅林業地(西多摩地域)は隣り合わせで交流があったので、そういうこともあったのかも知れない。先の青梅市の作業員は西川での仕事も多かったという。彼は西川特有のソリを二つ繋げたので引いていたという。
 さて、リンはいつ頃から始まったかはよくわかっていないが、明治以降かその前後だと思われる。それは材が太い場合は行われないという話だからだ。材が太い場合は普通に上や横に倒していたからだ。リンが組めないのでそれはそうであろうとおもう。
 リンを組むとは、伐倒した木をその現場で算積みにしていくことだ。写真のような形に積み上げていくことをいう。周りに木が立っている状態から、1本ずつ倒しながら、この形を作っていくことになる。数本倒した時点で、皮を剥き、適当に伸ばしておいておく。当時は杉皮は屋根材として重宝されたのであった。
 山に入って山分けをする。ひとりずつの持ち分が決まる。その所に「リン」を造る。横幅は自分の持ち分によって、10mにも20mにもなる。持ち分の一番下の部分に造ることになる。ここなら出来るだろうという感覚で、持ち分は決められるのだが、上手い下手によってそれは簡単ではない。
 リン足をつくり、リンボウを置き、鼻木を置き、バッタンコバッタンコと並べていく。並べ終わったらリンボウを又置き、バッタンコバッタンコと並べていく。それの繰り返しで、7段も10段もつくっていく。
 簡単にいうとそんな感じだが、ぜんぜん簡単ではない世界だ。どの作業も周りには木が立っている。その透き間に倒すのがむずかしい。また、その倒した木をリンの上に引いてくるのもむずかしい。
 1本木を伐る。「次はどの木を伐るの?」「その次は?」と聞くと、「あの木」と答える。
しかし、1本の木を伐り倒したあと、「あの木」と違う木を指図される。1本の木を切り倒したあとの空間を見つめ直し、くるくると頭の中が回転をしている。さっきまであった世界と、空間が1本分空いた世界で次の作業が代わってくる。空間構想力というものが、グルグルと動いているようで、一緒にいる私たちには???という時間だった。
 一つの作業が終わると、次の作業にリセットされることの連続であった。
 そんなこんなでリンを造るのだが、木に付いている枝が難物だ。木を倒した時に枝を落とすのは、小さなオノで落とす、それを足下に落とし入れておく。何本もやると木の段が気にならなくなるのが不思議な物だ。
 また、リンを一人で組むのだが、木の移動は皮が剥いてあるので、簡単に木を滑らし移動させことができるのが不思議な世界だった。こんな太い木が簡単に動く世界の不思議に見入ってしまった。

付録


リンギリ

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