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Forest Instructor Association of Japan

東京・西多摩式運材図絵 3

 〜最後の木屋師・久保田喜助の技〜

執筆:羽鳥孝明氏(東京5-0145)

ソリ

 資料館に展示してあるソリ(木ソリ・木馬)をみて、どういうものかよくわからなかった。搬出をしている写真を見ると、高いソリミチの上を運んでいる。「こんな恐いことがよくできるもんだ」と思っていた。
 80才に近い久保田さんに、
「今でも引けますか?」
「引けるよ」
「何年引いていないのですか」
「30年か40年かな」
ということで、お願いをすることにした。
「ところでソリはどうする?」
「資料館に有るのを借りだしたらだめですかね」
「ダメよ。ヤワになっているからな」
ということで、造って貰った。その話はここでは省略する。
 ソリとは小さな梯子のようなものに材木を載せて、線路のような上を運ぶものだ。
 ソリは明治以降行われた技で、江戸時代にはそのことが書かれた物は見つからない。雪ソリはあるが。それがなぜだかわからないが、ソリミチには釘を沢山使うからだという人もいた。
 桟橋の上に線路のようなソリミチを造るが、ほとんど釘で固定する。樽に釘を入れて担いで上がったという話を聞くと、山作業以前の準備の大変さがしのばれる。また、ソリミチを解体したときには、曲がった釘をまっすぐにして下に運び下ろして、次のソリの時に再利用する。釘といっても3寸4寸5寸と長い釘を使う。それを担ぎ上げることを想像して欲しい。
 ソリミチは簡単にいうと、鳥居を作り、その上に棹をのせて固定する。棹の上にバギ(バンギ)を固定して、線路のような形ができあがる。引いて降りるソリが線路から外れないように、コマヨセを打ち付ける。その上をソリを引いて滑らして、荷を下ろしていく。
 昭和に入ってからはブレーキになるワイヤーなどが使われたが、それ以前はブレーキ無しで危険きわまりないものだった。
 久保田さんに
「恐くなかったですか」
「平気よ。ただな、動かなくなっちゃうと大変なんだよ」
 動かなくなったソリを動かすためにあれこれやっていると、急に動き出して、ソリにはじき飛ばされたり、ひかれてケガをする。悪くすると死ぬこともある。
 この辺り(西多摩)での、載せる材積量は五石前後だ。ソリ引を請負でやるとまっすぐな木だけを積んで、要領のよい人と悪い人で出来高に差が出てくるので、あまりそういうことはやらなかったそうだ。


付録


ソリ

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