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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2015年6月 奥が深いアジサイ

今月は梅雨のこの季節にささやかに咲く、身近なアジサイを取り上げます。
■アジサイについて アジサイは6月から7月に白、青、紫のきれいな花をさかせます。花びらに見えるものは萼(がく)なので、花は装飾花ということになります。万葉集にも登場し、昔から日本人には身近な日本原産の植物です。セイヨウアジサイは日本からヨーロッパに渡り、現地で品種改良されたもので、逆輸入ということになります。アジサイには100種以上の品種があるといわれ、まれに食用による中毒症状の報告もあります。毒の原因は特定されていないのですが、花祭りで子供がアマチャ(甘茶)を飲んで嘔吐症状を訴えた例も報告されています(参考文献1)。うまく付き合っていきたいものです。

■アジサイとアルミニウム
アジサイは土壌の酸性度によって花の色が変わることも知られています。一般に酸性なら青、アルカリ性なら赤とされており、酸性の土壌が多いに日本では青色になるそうです。この理由は酸性土壌では溶けだしたアルミニウムの成分をアジサイが取り入れ、花の色を決める色素が反応して青色になるとされています。京都府立大学ではアジサイの中のアルミアルミニウムの分布を調査し、花・葉・茎 全てに存在し、青い花の方が多く、場所は葉、花、茎の順に多かったそうです(参考文献2)。なお、色の変化は経年によることが多いようです。

■虫を集める工夫をする植物たち
ところで、アジサイのもう一つの特徴である装飾花に関して、アジサイ以外の植物にも少し触れてみたいと思います。装飾花は虫を集めるためのカモフラージュなのですが、このような作戦をとる植物は他にもたくさんあります。身近なところでは、花序の基部の総苞片が白い花弁状になり虫を誘うドクダミやハナミズキ、さらには、葉を白くするマタタビなど、それぞれの植物の工夫が面白いですね。

■まとめ アジサイは身近な植物でありながら、未だに原因が特定できない毒性、アルミニウムのはなし、装飾花となかなか興味の尽きない植物ですね。梅雨の時期にひっそり咲くアジサイをいろいろな視点から観察してみてはいかがでしょう。アジサイ祭りも近くで開催されているかもしれません。また、山に自生するマタタビは普段はなかなか気が付きにくいのですが、葉が白いこの時期は見つけることが簡単です。秋に果実を塩漬けや果実酒にする楽しみもできますね。

参考文献1:厚生労働省帆ホームページ,「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ」,(2015年5月24日参照)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html

参考文献2:京都府立大学「アジサイ中のアルミニウム分布」,(2015年5月23日参照)https://www.2.kpu.ac.jp/life_environ/radiation_meas/ajisai.ppt/


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