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Forest Instructor Association of Japan

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2017年11月 ガソリンスタンドにおける木造建築について考える 

大分県のガソリンスタンドに木造の防火建物が完成したそうです。そこで、木製ガードレールを考察した9月に続き、再び木材利用について考えてみたいと思います。

■ガソリンスタンドの木造建築
大分県の日田市で防火性が求められるガソリンスタンドの建物が、地元のスギ材を用いた木造軸組み工法で造られたそうです(参考文献1)。専門家の協力のもと、日本木造住宅産業協会が大臣認定を取得している「メンブレン型」を適用し、地元の大工さんによって建てられました。

■木材の耐火性強化の動き
木材の耐火性能を高める技術開発が進み、木質部材(梁・桁)の耐火性能に関しては、国道交通大臣による認定数が平成24年度に4件となっています。そのうちの一つが「メンブレン型」で、木材を石膏ボードで被覆する構造です。耐火性を有する木造建築物は国内外で複数事例があり(参考文献2)、木材耐火構造の活用の仕組みづくりは現在も進んでいます(参考文献3)。木材の耐火性能が向上することで、ビルなどの建築物にも木材が利用できるようになり、都市部でも木のぬくもりに触れる機会が増えると良いですね。

■重要な大工技術の継承
ガソリンスタンドの事例で注目すべき点として、地元の大工さんの活用もあげられます。木造建築の場合、製材技術が進んだとはいえ、「木の癖を読む」、「使われ始めてから長期にわたり木の変化の影響を見守る」、など現場での臨機応変な対応や長期の施主とのつながりも大切であり、地元の大工さんの活用は理にかなっていると思います。また、大工技術の次世代への継承も重要です。蔵や古民家が点在するような地域では、家や壁や土間などの修繕のため大工や左官の技術が残っています。しかし、都市部では技術継承が問題になっているという話を聞いたことがあります。木材の利用範囲が増え、大工技術の継承や大工さんと施主とのつながりが増えると良いですね。

■まとめ
今回は、耐火性能を有する木造建築と、大工技術の継承や大工さんと施主との良い関係の構築について、少し考えてみました。ここには画一的で効率優先になりがちな現代社会の構造とは異なる側面が見えてくるのではないでしょうか。

参考文献1:日経アーキテクチュア「耐火木造に挑んだ全国初のガソリンスタンド(20171020日)」(20171021日閲覧) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO17509720Z00C17A6000000/

参考文献2:林野庁ホームページ「新たな木材製品・技術の開発・普及について(平成257月)」(20171021日閲覧)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/pdf/1307192.pdf

参考文献3:(一社)日本木造住宅産業協会ホームページ「1時間耐火構造・2時間耐火構造」(20171021日閲覧)
http://www.mokujukyo.or.jp/kensetsu/


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