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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2018年5月 インスタ映えで人気の森林の管理から自然と人の関わり方を考える

今月はインスタ映えで人気の森林を有する地域が直面する問題からこれからの人と自然の関わり方ついて考えてみたいと思います。

■インスタ映えする森林の周辺で起きていること
福岡県の「篠栗九大の森」では、水面から伸びる落羽松(らくうしょう)が幻想的な光景をつくり出し「インスタ映えする森林」として、人気が高まっているそうです。その一方、立入禁止の場所への写真撮影などでの立入、夏場のバーベキュー、想定を超えた来訪者による遊歩道の傷み、駐車場不足や付近の住宅地での渋滞、などの問題が生じ、管理している九州大学と町は立入禁止場所の徹底、ホームページによるマナーの呼びかけ、など対策を乗り出しています(参考文献1)。

■先行事例の対策
同じような問題に直面している世界自然遺産の先行事例を調べてみました。世界自然遺産では自然を保全管理していく新たな方向性として次の4つを提案しています。すなわち、(1)文化や科学的知見など様々な視点から地域の連携を図る保全管理体制の構築、(2)自然環境モニタリング体制構築と緩衝地域を含む保全、(3)インタープリターの社会的役割の構築、観光客増加対策、資源利用、ブランドマネジメントなどに基づく地域経済対策、(4)観光資源の分散、観光客との訪問前からの情報共有、地域関係者の協働などによる負のインパクトへの対応、です(参考文献2)。

■重要性が高まる自然の魅力を伝える力
森林が多く四季を通じて自然との触れ合う場所が全国に存在する日本では、インスタ映えする自然は、どこにでも存在する可能性があります。この様ななか、世界自然遺産の先行例を参考にしながら、自然とのかかわり方を考えていくことは、これからは意外と身近な課題なのかもしれません。その意味で、インタープリターの社会的役割の構築など、自然の情報を必要としている方々にタイムリーに正しく発信していくことは、私たち森林インストラクターに課せられた課題ということもできます。

■まとめ
今月はインスタ映えする森林を取り巻く課題から、世界自然遺産の取組みを参考に、今後の自然と人々の関わり方について少し考えて見ました。紙面の関係もあり、今回は概念的な入口の内容に留まっていますが、少しずつでも具体的提案などを社会に対して発信していけると良いと思います。

参考文献1:読売新聞ホームページ「「インスタ映え」で人気の森、マナー悪化で苦慮 (2018年4月18日)」(2018年4月20日閲覧)
http://www.yomiuri.co.jp/eco/20180417-OYT1T50109.html

参考文献2:環境省ホームページ「世界自然遺産地域における成果と今後求められる保全管理について 論点整理 (案)」(2018年4月20日閲覧)
http://www.env.go.jp/nature/isan/kento/conf02/04/mat01.pdf



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