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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2020年3月 レコード針の木製カンチレバーから木との身近な関わりを考える

レコード針に木製カンチレバーを使うというニュースがありました。そこで、今月は木材との身近な関わりについて少し考えてみたいと思います。

■レコード針のカンチレバーに黒柿を
カンチレバーはレコード盤に触れるダイヤモンドチップを保持し振動を伝える役割を担っています。材料には軽さに加え振動を伝えやすい硬くしなやかなアルミニウムが一般的です。日本精機宝石工業(株)はカンチレバーに黒柿を用いたレコード針を世界で初めて商品化したそうです。数十種類の木材の試行に約2年間を費やし、黒柿を長さ5ミリ、直径0.4~0.35ミリに削り、そこに直径0.25ミリの穴を開けて、0・2ミリのチップを埋め込みます。音質は「温かい」「柔らかい」など好評とのことです(参考文献1)。

■黒柿とは?
黒柿は柿の木のなかで幹・枝・根の断面に黒色の部分がある木を指し、心材や辺材に孔雀の羽根のような美しい縞模様である孔雀杢(くじゃくもく)が見られることもあります。樹齢何百年の古木でしか見つからず、なかでも孔雀杢は1千本から1万本に1本という貴重なもので、材は硬くて粘り気があり昔から高く評価され、正倉院御物の宝物にも黒柿を用いた工芸品が多く収められています(参考文献2)。また、出雲・松江地方には江戸時代に出雲松江藩7代目藩主、松平治郷(不昧公)の元で黒柿を用いた茶道具などの優秀な職人が育ち、高い技術が黒柿工芸として継承されています。

■木材の機能美
貴重でかつ機能と美しさを両立する木材は黒柿の正倉院御物の宝物のように大切にされてきました。例えば白木の女王とよばれるタモの木は強度が高く構造材に広く使われますが、縮杢(ちぢみもく)など美しい模様が見られる材は特に高く評価されます。木目の美しさを表現する「杢」は代表的なものでも20近くあります(参考文献3)。また、木材の機能と美しさを楽しむという観点からは、ギター、バイオリン、家具など海外でも多くの事例がみられます。改めて身の周りの木材の模様に関心をもってはみてはいかがでしょう。

■まとめ
黒柿のカンチレバーのニュースから杢の話しになってしまいました。話題を音に戻しますと、ギターやバイオリンに加え木管やピアノなど木材は楽器と深い関係を持っています。また筆者の家の近くにある軽井沢大賀ホールはカラマツを多用していますが、音の干渉を減らす五角形のホール構造と相まって音響がよく、気に入ったミュージシャンがレコーディングスタジオとして使うことも多いと聞きます。「杢」と合わせて木のもつ魅力を再発見したいですね。

参考文献1:神戸新聞NEXT/神戸新聞社「世界初、木製部品を使ったレコード針「艶やかな音色、画期的な製品」 日本精機宝石工業」(2020年2月4日)」(2020年2月18日閲覧)
https://bit.ly/2VTB1Dl

参考文献2:田崎, 竹原, 橋田, 橋田, 中村, 横山, 青木, 田崎,「希少銘木「黒柿」の物理化学的特徴と生体鉱物化作用」, 地球科学71巻, pp97-113, (2017) (2020年2月19日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/agcjchikyukagaku/71/3/71_97/_pdf

参考文献3:府中家具工業協同組合「杢」(2020年2月20日閲覧)
http://wp1.fuchu.jp/~kagu/siryo/moku.htm




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