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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2020年4月 新種クマノザクラの早咲きから温暖化問題を考える

2年前にこのコーナーで紹介した新種のクマノザクラが一週間早く開花したというニュースがありました。このニュースに限らす、多くの皆さんも日々の生活の中で「忍び寄る温暖化影響」をなんとなく感じていると思います。そこで、今月は身近な自然界のちょっとした変化から温暖化の兆しについて少し考えてみたいと思います。

■クマノザクラの開花が早まる
紀伊半島南部に分布するクマノザクラは例年より1週間ほど早く開花したそうです。クマノザクラは三重県の熊野川流域を中心に南北約90キロ、東西約60キロの範囲に群生し、鮮やかなピンク色の花が特徴で、2018年にオオシマザクラ以来100年ぶりに新種として発見されました(参考文献1)。

■身近にみられる変化の兆し
よく聞かれる温暖化との関係が指摘される身近な現象にヒトスジシマカ、チョウ、クマゼミの生息地域の変化があります。ヒトスジシマカについては最新の情報では青森県でコロニー(定住集団)が確認されており60年で400kmも北上しているそうです(参考文献2)。南方系のチョウのナガサキアゲハは少し古いですが2006年の調査では40年間で高知室戸から姫路神戸に北上しています。ただしチョウは耐寒性も上がるのですべてを温暖化影響とは言い切れないと指摘しています(参考文献3)。クマゼミについても2010年の調査で北限が「関東南部」から「関東北部~北陸」になるなど生息域の拡大が確認されています(参考文献4)。

■生態系全体への影響
国内での昆虫たちの生息域の数百キロの変化は地球規模で見ると僅かであると感じますが、この変化は植物連鎖など多様なつながりから自然生態系全体の変化と密接に関係しています。例えば、マツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリによって引き起こされる松枯れは標高が高い場所に拡大しつつありますし、狩猟の減少などの理由で個体数が増加している二ホンジカは行動範囲を標高が高い場所に拡大し、長野県では貴重な高山植物の食害や雷鳥への影響が懸念されています。このように考えると身近な虫たちの変化はその背後に存在する様々な変化を代弁しているのかもしれません。

■まとめ
今回は桜の開花を起点に温暖化によると思われている自然界の変化を身近な虫と山の中の事象を例に少し紹介しました。日本学術会議では温暖化の影響を包括的に整理しています(参考文献5)。私たち森林インストラクターもここで指摘している不確実性を理解したうえで、自然界のささやかな兆候を感じ取り、将来の自然全体への影響を想像していきたいと思います。

参考文献1:日本経済新聞ホームページ「約100年ぶりサクラ新種 紀伊半島南部で群生(2018年3月13日)」(2018年3月21日閲覧)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28038320T10C18A3000000/

参考文献2:ウェザーニューズ「地球温暖化の影響でヒトスジシマカの分布域が北上。北海道進出も近い?(2019年09月05日)」(2020年3月20日閲覧)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story-hitosujisimaka_jp_5d707a39e4b011080459d826

参考文献3:国立環境研究所地球環境研究センター「チョウの分布域北上現象と温暖化の関係」地球環境研究センターニュース Vol.17 No.9 (2006年12月) (2020年3月20日閲覧)
http://www.cger.nies.go.jp/publications/news/series/watch/6-14.pdf

参考文献4:ウェザーニューズ「『クマゼミ』の生息域の北限、昨年と同じく福島県福島市と判明(2010年9月7日)」(2020年3月21日閲覧)
https://weathernews.com/ja/nc/press/2010/100907.html

参考文献5:日本学術会議「地球温暖化問題解決のために―知見と施策の分析、我々の取るべき行動の選択肢(2009年3月10日)」 (2020年3月20日閲覧)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-h72-1.pdf




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