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Forest Instructor Association of Japan

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2021年12月 リモートワークの普及と自然への関心の高まりについて考える

コロナ感染症の影響が続く中、在宅勤務や郊外でのリモートワークに関心が集まっています。そこで、今月はリモートワークの普及と自然への関心の高まりについて考えてみたいと思います。

■各地で取組が進んでいるリモートワーク
長野県信濃町では2016年から2年半にわたり「脳波測定による自然体験が寄与する企業経営課題解決への実証実験」を行い、森林環境下での仕事が効率向上などにつながる結果となったそうです(参考文献1)。これらの取り組みの背景には、2014年に経済産業省が始めた「健康経営優良法人」制度(社員の健康増進に取り組む企業を表彰)がありまる。2018年に総務省が委託した「ふるさとテレワーク」の調査では、全国の事例が記載されており、自然豊かな環境で行われるリモートワークへの関心がコロナ感染症の前から高まっていることが分かります(参考文献2)。

■森林環境下でのリモートワーク効果
信濃町の調査では、森林環境下でのリモートワークは都内オフィスに比べ「興味関心の高まりによる脳の活性化状態を示す指標が上昇」「作業成績が向上」「脳波の状態は心穏やかに作業できる」ことが確認されています(参考文献3)。また、「ふるさとテレワーク」では和歌山県白浜町の事例で商談件数や契約金額の増加が認められています(参考文献2)。

■一過性の動きにしないことが大切
森林が与える効果は森林浴などに代表されるようにこれまでも様々な調査が行われていますが、リモートワークにおける生産性や創造性についての調査は知見が少なく、今後の系統的な調査が期待されています(参考文献4)。
コロナ感染症によりリモートワークへの関心が急速に高まっています。財務省の調査では首都圏からの移住は近隣地域に留まっているものの、地方への移住の兆候はみられるようです(参考文献5)。職種によっては在宅勤務が日常になりつつあるなか、このような動きを一過性のものにせず継続したものにすることが大切です。地方への移住は定着しないケースもあると聞きますが、リモートでつながるメリットを活かして課題を乗り越えていけるとよいと思います。

■まとめ
森林空間を健康、観光、教育等の多様な分野で活用していく産業を「森林サービス産業」とし、新たな人と森とのかかわりを深める「Forest Style」として国としても活動を推進していく動きがあります(参考文献6)。このような活動が定着して私たちの日々の生活と森林が近くなると良いと思います。

参考文献1:日経BP総合研究所「脳波で見る、森林環境下でのリモートワークは生産性を高めるか ワーケーションと健康経営の組み合わせを追う(下)(2021/11/5)」(2021年11月17日閲覧)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00045/102700005/

参考文献2:総務省「ふるさとテレワーク推進事業の成果(平成30 年4月24日)」(2021年11月17日閲覧)
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/jyuuten_houshin/sidai/pdf/jyu14-02-1.pdf

参考文献3:日経BP総合研究所「コロナ禍であらためて注目、「森林で働く」健康経営 ワーケーションと健康経営の組み合わせを追う(上)(2020/9/28)」(2021年11月17日閲覧)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00003/092400156/

参考文献4:(公社)国土緑化推進機構「令和元年度 林野庁委託事業「森林資源を活用した新たな山村活性化に向けた調査検討事業」報告書(2020年3月)」(2021年11月17日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou/attach/pdf/houkokusyo_202003-6.pdf

参考文献5:財務省関東財務局経済調査課「コロナ禍における管内の人口移動~コロナ移住はホンモノか~(2021年5月20日)」(2021年11月19日閲覧)
http://kantou.mof.go.jp/keichou/20210520_keichou.pdf

参考文献6:林野庁ホームページ「森林サービス産業~新たな森と人のかかわり「Forest Style」の創造~」(2021年11月19日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou.html



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