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Forest Instructor Association of Japan

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2022年2月 森林のCO2吸収量の算定について考える

林野庁が森林による二酸化炭素吸収量の算定方法を再整理して公開しました。そこで、今月は森林のCO2吸収の算定について考えてみたいと思います。

■林野庁が森林のCO2吸収に関する計算方法を公開
昨年10月改訂の地球温暖化対策計画では、健全な森林の整備等の森林吸収源対策によるCO2吸収の目標値(2030年度に約3,800万t-CO2(2013年度総排出量比2.7%相当))が掲げられ、日本の地球温暖化対策における森林整備等の重要性が一層高まりました。そこで林野庁は森林によるCO2吸収量の算定方法を周知しました(参考文献1)。

■森林に求められる適切な施業
日本では伐採しても3割程度しか再造林されないなど、森林整備が進まない課題があり、再造林や保育の効率化、労働力の確保などが喫緊の課題と位置付けられ、様々な検討がなされています(参考文献2)。また、森づくりには多面的機能を発揮できるよう、将来の姿や現在の状況を考慮した適切な森林施業が求められています(参考文献3)。

■重要なことは森林の育成を継続的に回していく仕組み
今回の林野庁による計算方法の開示の目的は、企業や地方公共団体等によるCO2吸収量の開示と森林整備の取組の意義や効果の訴求です。一方で上述した森林の状況を踏まえて今大切なことは、企業や地方公共団体等によるCO2吸収量の開示が負担なく当たり前のように行われ、森林施業を継続的に後押ししていくことだと思います。そのためには、J-クレジット制度(参考文献4)や自治体単位で構築されつつあるCO2吸収量認証制度(参考文献5)などの新しい枠組みを取り入れ、必要に応じ改善なども行い社会の仕組みに組み込まれていくことが望まれます。

■まとめ
筆者は10年ほど前に京都議定書に係るCO2排出量の算定に関わったことがあります。その際、排出量予測の算定式の複雑さや新しい知見に基づく算定式の頻繁な更新など、新しい枠組み故の難しさがあり、結局トライアルで終わってしまいました。森林のCO2吸収量の計算と開示がシンプルかつ合理的に行われ、森林の再造林や保育が進むことを望みます。

参考文献1:林野庁「森林による二酸化炭素吸収量の算定方法について(2021/12/27)」(2022年1月18日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/211227.html

参考文献2:林野庁「再造林の推進(令和2年10月)」(2022年1月18日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/attach/pdf/201012si-18.pdf

参考文献3:林野庁「第2部 森づくりの理念と森林施業」森林総合監理士(フォレスター)基本テキスト(令和3年度版)(2022年1月18日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/ken_sidou/forester/attach/pdf/index-225.pdf

参考文献4:経済産業省、環境省、農林水産省「J-クレジット制度」(2022年1月16日閲覧)
https://japancredit.go.jp/

参考文献5:千葉県「森林は、二酸化炭素を吸収し、蓄えています(2019年11月22日)」(2022年1月16日閲覧)
https://www.pref.chiba.lg.jp/shinrin/shinrinkyuushuu.html



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