木質系バイオマスは森林が多い日本では地産地消のエネルギー源として注目されてきましたが、課題も見えてきているとのこと。そこで、今月はこの話題を取り上げます。
■バイオマスエネルギーの現状(NHKクローズアップ現代より)
バイオマスエネルギーを使う設備(発電と熱供給)は今年だけで30か所が稼働し、さらに30カ所の建設が予定される状況で、燃料となる木材確保の問題が出ているとのこと。乱伐による森林の荒廃の懸念まで指摘されています。その一方で、寒冷地では熱源として使うことでエネルギーをより効率的に使うことができ、発電事業を取り巻く環境から地域の活性化の効果も出ているそうです(参考文献1)。
■先人の知恵
多くの場合、先人たちは森林資源をはげ山にすることなく、感謝の気持ちをもって活用し、畏敬の念をもって接してきました。参考文献1のクローズアップ現代でも指摘されていますが、生長量を超えない範囲での使用や、木材の無駄のない効率的な使用(廃材をチップ燃料にするなど)が大切です。
■日本の森林固有の留意点
日本は豊かな森林に恵まれている一方、急峻な地形が多く伐採には手間がかかります。また、放置されてしまった人工林は過密になり伐採作業が危険を伴うことも少なくありません。バイオマスの活用における、この様な環境での作業には安全面や経済面での配慮が大切です。さらに、森林施業は30年、50年、場合によっては100年先を見据えた継続性のある仕組みも重要です。しかし、これらを解決することは簡単ではありません。正しい答えはすぐには見つからないですが、タイムリーに情報を共有し、解決策を見つけていくことが重要ではないでしょうか。
■まとめ
日本は北海道から沖縄まで森林の植生は様々です。また、林業の形態も全国様々です。この様な状況を考慮すると、共有した情報は、全国共通に使える仕組みと地域の個性を生かした仕組みに上手く展開できると良いかもしれませんね。森林資源を賢く活用していくことは全国の課題です。私たち森林インストラクターも全国の繋がりを活かして、引き続き情報発信を進めていきたいと思います。
参考文献1:NHKクローズアップ現代「急増!バイオマス発電〜資源争奪戦の行方〜」2015年2月17日放送
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3617.html
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