今月はJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」に木曽ヒノキの浴槽が使用されているというニュース記事から、人のつながりについて考えてみたいと思います。1月の駅舎、昨年9月の卓球台につづく、木の利用に関する記事となります。
■世界初のヒノキ風呂を備えた寝台列車
5月から運行する「トランスイート四季島」の最上級客室「四季島スイート」と「デラックススイート」には、木曽の職人が木曽ヒノキで造った浴槽が設置されているそうです(参考文献1)。一度は乗ってみたいですね。
■木曽のヒノキ林とは?
まずは、木曽ヒノキについて簡単に触れておきたいと思います。ヒノキはまっすぐに伸びる性質、木材の肌目の美しさ、優れた耐久性や抗菌性などから、古くから建築材に使用されてきました。木曽ヒノキは江戸時代に大規模な伐採とその後の尾張藩による厳しい伐採制限受けています。このような歴史的背景のもと、地元の方々の長年の森林整備などを通じて、現在のヒノキ林は形成されてきました(参考文献2)。
■世代を超えた人のつながり
「トランスイート四季島」の浴槽の製作にあたっては、車両の揺れが湯舟の湯に与える影響を抑えるよう、木曽の職人さんとJRの担当者とは何度も協議を重ねたそうです(参考文献1)。昨年9月の卓球台の記事では、作る人たちの顔を合わせたつながりの大切さに触れましたが、今回も同じですね。また、全ての木材にあてはまる話なのですが、特に木曽ヒノキの場合には、先人たちが何世代も苦労して維持管理してきたヒノキ林から伐り出した材を使わせていただくという感謝の気持ちが製作に関わった方々には一層強いのではないでしょうか?そこには、世代を超えた人と人とのつながりが見えてきます。
■まとめ
今回取り上げた「トランスイート四季島」は11月出発分までのチケットは既に売り切れたそうです。日本は森林が豊かで、木の種類も豊富です。「トランスイート四季島」の車窓からは様々な森の形が見えることでしょう。その森の景色には先人たちの維持管理の工夫の跡がみられるかもしれません。このような国内の旅行をきっかけに、自然豊かな日本の良さと、人と森との関わりについて、再認識するきっかけになると良いですね。
また、木材にはみなその木が育った背景があります。木材がきちんと管理されて育っているか知る仕組みとして森林認証制度もあります(参考文献3)。このような仕組みも活用しながら身近な木材についても、その木が育った背景に皆が関心を持つと良いと思います。
参考文献1:信濃毎日新聞「木曽ヒノキ風呂で最上のもてなしを 豪華寝台列車「四季島」(3月17日)」(2017年3月19日閲覧)
参考文献2:中部森林管理局「木曽ヒノキについて」(2017年3月19日閲覧)
参考文献3:環境省ホームページ「森林認証制度」(2017年3月20日閲覧)
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