既にご存知の通り政府与党は森林環境税を2024年度から導入する方針を発表しました(参考文献1)。そこで、今月は、森林環境税について考えてみたいと思います。
■森林環境税とは?
森林環境税は地球温暖化の防止や水源保全の一環として、森林管理の財源確保を目的に1人当たり年間1000円を住民税に上乗せする仕組みです。管理対象には所有者不明林なども含まれ、森林の恩恵を受ける全国民が対象になります。徴収した税金は私有林の面積や林業従事者数などに応じて市町村や都道府県に配分し、自治体は、間伐や林業の担い手の人材育成や公共建築物への木材利用促進などにあてることが期待されています(参考文献1)。
■指摘される課題
一方で、森林環境税の導入にあたっては、都道府県及び市町村の役割分担の明確化、税収の適切な配分、納税者である全国民の理解、多くの自治体が導入している森林税などの同種の税制度との調整など、様々な課題が指摘されています(参考文献2)。
■合理的な仕組みづくりの必要性
筆者が住む長野県では森林税の導入後10年が経ち、税制度の更新について議論がなされたのですが、所有者不明林の手続き難しさなどから森林整備のペースが落ち、基金残高が年間の税収を超えるなどの問題点が見えてきており、制度の更新については賛否が分かれました(参考文献3)。今回の森林環境税は都市部も含む全国民が対象となるため、森林の公益的機能に着目した広い視野からの分かりやすいルール作りが求められると思います。
■まとめ
今月は与党が導入方針を提示した森林環境税を取り上げました。これを機会に、日本の森林がおかれている状況を、都市部も含む多くの人が考える機会になればよいと思います。私たち森林インストラクターも引き続き情報発信をすすめていきます。
参考文献1:毎日新聞「税制大綱決定 森林環境税「全国民に恩恵」一律1000円(2017年12月14日)」(2017年12月16日閲覧)
参考文献3:毎日新聞「森林税の継続に賛否 導入10年割れる評価(2017年7月2日)」(2017年12月16日閲覧)
https://mainichi.jp/articles/20170702/k00/00e/040/171000c
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