今月は枡に関するニュース記事から見えてくる木製品の奥の深さについて考えてみたいと思います。
■枡メーカーのとりくみ
大垣市は枡の全国シェア8割といわれるほど枡の製造が盛んです。しかし、メーカー数は全盛期の半分ほどの5社に減ってしまい、その一つである大橋量器では枡の売り上げを増やそうと様々な取り組みをしたそうです。成果がなかなか得られないなか、ユニークな商品の情報発信を続け、その記事を見たお客さんが昔ながらの枡に興味を持ち、売り上げが増えたとのことです(参考文献1)。
■枡の製造工程
枡に使われる木材は一般的にヒノキやスギが多く、製造工程は複数のホームページで知ることができます(参考文献2、3)。現在では多くの工程が機械化されていますが、面取りなど一部の工程では職人の技が必要です。人の手が加わる製品は、なんとなく人の温かさを感じとることができる気がしますね。加えて、原材料についても余った材の活用や国産合法材の活用など、森林資源への配慮がみられれます。
■各所に配慮がある枡
製造工程における職人の技の活用や森林資源への配慮に加え、木の組み方を「入」の字の形として縁起をかつぐ工夫も見られます(参考文献3)。また、枡という単位の規格化(10合=1枡)は江戸時代になされており、標準という先進的な発想もうかがえます。更に木製品は一般的に、少し削ることできれいな面が表れて再生できますし、最終的には大きなエネルギーを投入しなくても腐って土にかえります。資源循環の観点からも無駄のない製品ですね。
■まとめ
今回は枡を事例に木製品ゆえの様々な観点を考察してみました。プラスチックを素材とする工業製品にはなかなか見られないものですね。知人が20年使った拭きうるしのケヤキのお椀が痛んできたので、職人さんに相談したところ漆を塗ってもらうことができ、新品同様のきれいなお椀に戻ったそうです。木製品にはいろいろな物語がありますね。この様な木製品ゆえの温かさが私たちの感性に合い、シンプルな昔ながらの枡に注目が集まったのかもしれません。
参考文献1:ITmediaビジネスオンライン「「枡」だけで売り上げ4倍 伝統を守りながら伝える“面白さ”(2018年1月12日)」(2018年1月20日閲覧)
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1801/12/news005.html
参考文献2:(有)大橋量器ホームページ(2017年1月20日閲覧)
http://www.masukoubou.jp/process.html
参考文献3:(株)トーホーホームページ(2018年1月20日閲覧)
http://www.tohowood.co.jp/masu
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