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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2018年6月 森林におけるドローンの活用可能性 

ドローンの森林での活用に関しては、昨年8月にワイヤーロープ張りの事例を紹介しながら、植物の成長量の測量など様々な活用の可能性について紹介しました。今回は、新たに松くい虫被害の観測への活用について考えてみたいと思います。

■松くい虫被害
松くい虫の被害はマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリによって拡大していくもので、全国の被害材積は、1979年度に約243万立方メートルとピークに達したあと減少し、2015年度にはピーク時の5分の1程度の水準になっています(参考文献1)。一方、例えば内陸で標高が高い地域を有する長野県では、1983年以降に被害が拡大しています(参考文献2)。このことは、被害が内陸や高冷地に少しずつ拡大していることを示していることを表していると考えられます。

■長野県の取り組み
長野県では、松くい虫被害を防止する施策を検討していくため、アカマツの状態把握にドローンを活用し、その有効性が認められたそうです。今後は、アカマツの有効活用も図りながら樹種転換、効果的な伐倒駆除、樹幹注入などの対策を検討していくとのことです(参考文献3)。

■地域の枠組みを超えた連携
ドローンの活用については、前回の記事でルール化の必要性に触れました。今回の事例でもルール化は必要ですが、松くい虫の被害が面的に県境などに関係なく広がることを考えたとき、地域の枠組みを超えた連携も重要になります。また、一般的にはセンサーを用いた認識では、その精度を高めるには、様々な条件での技術的知見を蓄積することが大切になります。そのような認識技術の観点からも、地域の枠組みを超えた連携が大切になると思われます。

■まとめ
今月はドローンを松くい虫の被害状況の把握へ活用する事例から、地域を超えた連携の重要性について少し考えてみました。ドローンの様々な可能性を引き出していくためには、地理的な枠組みに加え、技術領域の枠組みも超えて臨機応変に知恵を出し合うことが必要ではないでしょうか。

参考文献1:林野庁ホームページ「松くい虫被害(2017年10月27日)」(2018年5月20日閲覧)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/matukui.html

参考文献2:長野県ホームページ「松くい虫激害地の被害拡大現状に関する研究」(2018年5月20日閲覧)
https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/kenkyu/ikurin/documents/iku-21-1.pdf

参考文献3:長野日報web「松くい虫の被害 ドローン抽出木に感染確認(2018年5月18日)」(2018年5月20日閲覧)
http://www.nagano-np.co.jp/articles/31902



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