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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2018年7月 新国立競技場の木材利用から伝統文化について考える 

新国立競技場向けの向け木材を全都道府県から調達するというニュース記事がありました(参考文献1)。そこで、今回は木の文化について少し考えてみたいと思います。

■新国立競技場における木材利用
新国立競技場のために全国から調達する木材は森林認証制度に合致したもので、東西南北のエントランスゲートには震災被災県の材を使い、それらの材は住宅の間柱として全国に流通する調達しやすいサイズとのことです(参考文献2)。森林認証制度とは、持続可能な森林経営のため第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証する仕組みです(参考文献3)。

■伝統的文化の表現方法
新国立競技場の設計コンセプトには木材利用の促進に加え、「日本の伝統的文化を現代の技術によって新しい形として表現する」という考え方が示されており、競技場の設計では木を丁寧に扱うという視点からエッジ部分の仕上げ処理に工夫を施すそうです(参考文献4)。

■身近にあった丁寧な木の扱い
適材適所という言葉があるように、日本の木材建築では土台には腐りにくいクリ、柱にはまっすぐなスギ、お風呂には防腐性や芳香性を考慮してサワラやヒノキ、梁には耐荷重性の高いマツなど、木の特性を活かした使い方をしてきました。加えて、民家であっても欄間や障子に組子細工が使われるなど、木を丁寧に扱う技術が身近に存在していました。寄木細工や桐の箱などの建築物以外でも、ち密な技術が身近にあり、日々の暮らしの中で日本人は木を丁寧に扱う技術に触れていました。まさにこれが伝統文化なのかもしれません。

■まとめ
今回は、新国立競技場の木材利用について取り上げました。森林認証制度を用いることや、日本全国や震災被災県からの木材調達などの話題に加え、完成した際には、木を丁寧に扱ったところにも目を向けてみたいですね。新国立競技場が伝統的な木の文化を発信していくことを願います。更に、私たちが忘れかけている木の文化を再び感じ取ることがでれば良いと思います。


参考文献1:日本経済新聞電子版「新国立向け木材、全都道府県から調達 神奈川のナイス(2018年6月21日)」(2018年6月22日閲覧)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32006100Q8A620C1L82000/

参考文献2:建設通信新聞「新国立競技場47都道府県から木材調達!エントランスゲートは震災被災県の木材を(2018年1月23日)」(2018年6月22日閲覧)
https://www.kensetsunews.com/web-kan/150956

参考文献3:環境省ホームページ「フォレストパートナーシップ・プラットフォーム」(2018年6月22日閲覧)
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/fpp/maintenance/new/cert.html

参考文献4:建築討論 磯 達雄「日本らしさをめぐる葛藤:新国立競技場における木造と木材(2018年1月特集「造」と「材」]「フォーム」(2018年6月24日閲覧)
http://bit.ly/2tRSWeJ



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