大阪の中心地に焚火を見られる店が誕生したそうです。そこで、今月は炎を身近に感じることの意味について考えてみたいと思います。
■焚火の店
大阪本町隣駅のオフィス街の片隅のそのお店では、広葉樹の薪を燃やす焚火台を備え、炎を見ながら食事をとることができるそうです(参考文献1)。薪ストーブや暖炉が置かれて薪が燃える炎が見えるお店は多いと思いますが、焚火となる少し趣が異なるのかもしれません。
■増加に転じている薪の生産量
電気やガスを中心とした生活に慣れてしまうと意外かもしれませんが、薪は様々な用途に使われており、かつお節製造用、ピザ窯やパン窯用等としての利用に加え、薪ストーブの増加などを背景に、2007年以降、薪の生産量は増加傾向に転じ、備蓄用や緊急災害対応用の燃料としても販売されているそうです(参考文献2)。
■炎が身近にあること
最近は火災や火傷を避けることが重要視され、家庭や学校などの身近なところから炎を遠ざけてしまいがちです。一方、子供たちの野外活動では、火の扱いなどを通じて、水や火の大切さ、物を工夫して使うことの楽しさ、素朴な生活の楽しさ、などを感じてもらうことが大切であるとされています(参考文献3)。ここでは、危険予知能力を高めることも期待されます。大人の場合であっても、ストーブの炎を見ていると飽きない、心が落ちつく、といった経験はないでしょうか?炎と人との間には適切なバランスを保つ距離感が必要なのかもしれませんね。その意味では、人工的な都市部に焚火が見られる店があることは興味深いことです。
■まとめ
最近、薪の盗難の話を聞いたことがあります。特に震災以降、電気やガスが無くても暖がとれ、お湯を沸かすことができる薪燃料は再注目されているような気がします。昔は地域の雑木林は薪を供給するための薪炭林でもあり、主要な材であるナラでは、切ったところから次の世代が成長する「ひこばえ」の特性を利用して、薪が次の世代に残る燃料供給の循環が成り立っていたと思います。炎が身近になることで、そのような自然と関わりが身近になると良いと思います。
参考文献1:PR TIMES「大阪の都会の真ん中で「焚火」が楽しめるお店が誕生しました〜日本初!?〜(2018年11月14日)」(2018年11月18日閲覧)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000039234.html
参考文献2:林野庁ホームページ「林業白書 第1部 第 III 章 第2節 特用林産物の動向(2)」(2018年11月18日閲覧)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/27hakusyo_h/all/chap3_5.html
参考文献3:文部科学省ホームページ「青少年の野外教育の充実について(報告)
青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議(平成8年7月24日)」(2018年11月18日閲覧)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19960724001/t19960724001.html
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