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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2019年1月 木質系バイオマス発電の燃料供給源について考える

木材燃料を使うバイオマス発電に関しては2015年12月にこのコーナーで定量的な分析事例を引用し、燃料供給源の環境配慮の重要性について考察しました。今回は最新のニュース記事に基づき、改めて木質系バイオマス発電について考えてみたいと思います。

■木質系バイオマス発電が抱える課題
今回のニュース記事によりますと、燃料調達面での人手不足などの問題から国内の森林資産を生かし切れず、輸入に頼らざるを得ない状況になっているようです。政府の電源計画ではバイオマス発電からの供給電力は2030年には全体4%程度とし、太陽光発電よりも低いものの風力発電を上回る計画です。しかし、過去5年間の燃料供給の状況は、国内生産が横ばいであるのに対し輸入が約6倍に増加。燃料調達の問題で固定価格買取制度(FIT)認定の設備の8割が停止し、調達先の東南アジアでの熱帯雨林の伐採による環境破壊も指摘されています(参考文献1)。

■燃料供給源のケアが大切(前回記事のおさらい)
2015年12月にコーナーでは定量的な分析事例を参照し、木質系バイオマス発電の場合に最も留意すべき環境的側面は燃料供給サイトの森林や畑における植物の再生能力の維持である(あるケースでは温暖化影響の改善効果に比べ50~100倍のインパクトがある)ことを示しました。そして、国内の燃料確保に限りがあり輸入を避けられない現状において、調達先の森林や畑への配慮が燃料を使用する側に求められると指摘しました(参考文献2)。

■燃料種に合うきめ細かい管理の必要性
繰り返しになりますが、燃料調達時に経済効率だけを追うと過度な伐採となり、自然のサイクルが回らなくなります。特に輸入の場合は燃料の原料が多種多様で、それぞれの原料に合ったきめ細かい対応が必要になります。太陽光発電と比較すると複雑なプロセスとなり、導入を断念するケースも多いそうです(参考文献3)。原料種に合わせたきめ細かい配慮は、多様な植物種を活かして自然と共存してきた日本人にはもともと得意とするところかもしれませんね。

■まとめ
FIT制度に基づき再生可能エネルギーの導入が進むなか、木質系バイオマス発電の課題が明確になってきました。是非、燃料供給の現場で適切な植物の管理を行い、生き生きとした森林や畑を維持する仕組みが構築していくことが大切であると思います。

参考文献1:日本経済新聞「バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み(2018年12月11日)」(2018年12月15日閲覧)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38774900R11C18A2000000/

参考文献2:日本森林インストラクター協会ホームページ「Newsを考察 2015年12月 木質系バイオマス発電の燃料供給源の森林施業効果」(2018年12月15日閲覧)
https://www.shinrin-instructor.org/news/news201512.html

参考文献3:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会日本森林インストラクター協会「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業(中間)事業評価報告書(平成30年3月)」(2018年12月15日閲覧)
https://www.nedo.go.jp/content/100877101.pdf




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