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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2019年2月 ブナの倒木から生態系に見られる課題について考える 

今月は京都のブナ倒木のニュース記事から森林生態系の課題について考えてみたいと思います。

■京都のブナ倒木について
京都の山奥の天然林では昨年発生した度重なる台風により、山の尾根周辺ではブナの倒木が相次ぎ、根元部分が土ごとむき出しとなった「根返り」が壁のような状態になっているとのことです。一方、倒れた場所では、積雪量が少ないためシカの食害により新たな草木が育たず、土壌流出の懸念が高まっているそうです。台風と温暖化の2つの影響が指摘されています(参考文献1)。

■森林生態系と温暖化の関係
温暖化の森林生態系への影響については、今回のニュース記事が指摘している積雪が減り雪に守られた植物が食害を受けやすくなることに加え、シカの生息域の高地への拡大、さらには異常気象の増加との因果関係も指摘されています。ここから、温暖化は森林生態系に相乗的に影響を与えていると言えます。

■地味ながら大切な森林生態系保全
温暖化が与える森林生態系への影響に対する対策は難しい問題です。少しずつ動き始めている世界レベルでの温室効果ガス排出量抑制の取組みと同時に、地味ではありますが身近な生態系を維持する活動も重要になります。生態系は一度失われてしまうと再生に長い年月が必要になります。特に土壌や種の多様性の維持は大切です。土壌は生態系の循環を維持するための土台ですし、循環を回すには多様な種の存在が欠かせません。

■求められる地域に根差した活動
近年、AIやドローンなどを用いることでより精度の高い森林の調査が期待されています。センサーカメラなどもありますね。地域の大学などが研究する事例もあります(参考文献2)。奥山に限らず、身の回りの里山なども対象に、大学などの調査・研究機関と地域住民が連携し、地域の活動として森林調査や土壌は種の保全活動を推進することが継続的活動に繋がると思います。全国の私たち森林インストラクターの仲間もお手伝いできれば良いと思います。

参考文献1:京都新聞「倒壊ブナ「根返り」森林ピンチ 台風とシカ害ダブル(2019年1月11日)」(2019年1月20日閲覧)
https://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20190111000044

参考文献2:金沢工業大学ホームページ「深層学習を用いて無人航空機(UAV)の空中写真データ等から森林境界や材積等を推定。林業の活性化を目指す産官学共同研究を開始(2018年9月28日)」(2019年1月20日閲覧)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2018/0928_forest.html



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