入学式の時期ですが、子供の運動能力低下に関するニュース記事がありましたので、野外活動を含む最近の子供を取り巻く環境について考えてみたいと思います。
■子供の運動能力の低下
全国の養護教諭の報告によりますと、50メートル走の20メートルほどで股関節のはく離骨折をしてしまうなど、以前にはあまり見られなかったケガが指摘されているそうです。また、「走り幅跳び」「ハンドボール投げ」などの運動能力も従来に比べ低下しているそうです。木登りなどの当たり前であった遊びがなくなったことが要因の一つと指摘し、外遊びが子供に自発性を与える効果についても言及しています(参考文献1)。
■外遊びの機会の減少
子供が外で遊ぶ機会が減った背景には、上述の記事で指摘している通りスマートフォンやテレビゲームの増加に加え、都市部では昇降機の利用で体を動かす機会が減ったことが考えられます。特にスマートフォンは著しい技術進歩による多機能化によって、子供の使用機会が更に増える可能性がありますね。また、地方では遊ぶ場所が豊富であるにもかかわらず、車社会による送迎によって、遊び場所に友達と寄り道する機会は減っているように思います。
■大人側の意識的な行動が大切
上述の記事では幼稚園で遊ばせ方を工夫することで、集中力を高める効果があることを紹介し、大人が仕掛けることの必要性を指摘しています。子供の活発な遊びにはある程度のケガはつきものです。最近は絶対的な安全を求める声を耳にする機会が増えている気がしますが、「ある程度のケガ」を許容する大人側の意思決定の仕組みが必要かもしれません。安心や安全の問題は個人の意識の違いが判断に影響を与える難しい課題ですが、解決方法を探りたいものです。ところで、家庭内では、時には周囲に迷惑をかけないように静かに遊ぶ必要もあります。バランスの取れた大人の行動により子供の運動能力の適切に維持していきたいですね。
■まとめ
野外活動のイベントで小学生に木登りをさせたところ、木の上で手を放す動作をしたという話を森林インストラクターの知人から聞いたことがあります。その知人は、木の上で手を離すとどうなるかを想像できないのでは?と危惧していました。子供たちに基本的な運動能力や危険予知能力を無意識に備えることができるよう、昔はあたり前であった外遊びの環境を意識して準備していくことが必要だと思います。共働きなどで親世代が多忙な中、私たち森林インストラクターも野外活動などを陰ながらサポートができればよいと思います。
参考文献1:読売新聞オンライン「50M走で骨折、片足で立てず…子どもの体に何が?(2019年3月13日)」(2019年3月16日閲覧)
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20190311-OYT8T50009/
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