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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2019年9月 無断伐採について考える

今回は宮崎県でスギの盗伐に関するニュース記事がありました。そこで、今回は盗伐に加え誤伐や無届伐採を含む無断伐採について少し考えてみたいと思います。

■宮崎県の盗伐被害
宮崎県ではスギの盗伐などの違法伐採による伐採業者などの摘発が2015年以降で延べ12件となり、その数は増加傾向にあるそうです(参考文献1)。この様な状況のなか、県では、(1)関係機関との連携強化、(2)パトロールの強化、(3)相談対応の強化、(4)伐採届審査の厳格化、(5)伐採事業者への指導強化、(6)森林所有者への周知、などの取り組みを進めています(参考文献2)。

■日本全国に見られる無断伐採
林野庁の平成30年の調査では平成29年度の無断伐採の相談件数は全国で62件あり、九州が33件とおよそ半数を占めるものの北海道や東北・関東でも10件近く見られ、全国的な問題であると言えます。62件の内訳は、故意が11件、間違いが37件、不明が14件となっています。また、警察への相談件数は62件のうちの28件と半分以下の状況になっています(参考文献3)。

■背後に見える課題
この様な問題の背後には過疎化や高齢化などにより所有者が自分の森林を十分に管理できない状況になっていることが影響しているように思われます。また、「間違い」は所有境界が不明な場合に多いのかもしれません。いずれにせよ、森林所有者をめぐる社会的な問題が背後に横たわっています。警察への届け出が少ない理由も、所有している森林への関心が減っている表れなのかもしれませんね。

■まとめ
伐採する森林はその林の生い立ちや育っている木々の状況に応じた適切な伐採方法があります。無断伐採ではそのような配慮がなされず根こそぎ伐採されてしまうのではないかと思われます。不適切な伐採が過度になされてしまうと、保水など森林が有する様々な機能が低下し、土砂流出などの被害が広い範囲に及んでしますことも考えられます。
私たちはこの状況を山間地域や森林所有者だけの問題としてとらえるのではなく、森林の恵みを享受しているみんなの問題としてとらえて、解決策を考えていく必要があるのではないでしょうか。

参考文献1:宮崎日日新聞「県内スギ盗伐、摘発相次ぐ 相談件数、今年最多ペース(2019年8月11日)」(2019年8月14日閲覧)
http://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_40382.html

参考文献2:宮崎県ホームページ「誤伐及び盗伐の状況及び相談窓口のお知らせについて(2019年8月7日)」 (2019年8月14日閲覧)
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/shinrin-keiei/shigoto/ringyo/gobatu-toubatu.html

参考文献3:林野庁プレスリリース「無断伐採に係る都道府県調査結果について(平成30年3月9日)」(2019年8月14日閲覧)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/180309_15.html



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