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Forest Instructor Association of Japan

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2020年10月 工芸品や民芸品と森林の関係について考える

今月は松本民芸家具の記事を目にしましたので、そこから、工芸品や民芸品と里山などの森林との関係について考えてみたいと思います。

■松本民芸家具
松本民芸家具は、その発足が戦後と歴史は比較的浅いですが、日本の手づくりの仕事のよさや生活を中の美を大切にした柳宗悦が関心を示し、生活の中に自然が溶けこみ、無意識のうちに使いてが癒やされる家具作りが今でも続けられているそうです。その作りは丁寧で、例えば塗装では、30年、40年以上使い続けることで、年々、違う美しさが引き出されることを想定した8つの塗装工程を持っているそうです(参考文献1)。

■民芸品と工芸品と里山
民芸品の「民芸」とは民衆と工芸をつなげた柳宗悦らが唱えた言葉で(参考文献2)、工芸品の中で特に日々の生活とつながりが深い物が民芸品であるといってよいと思います。工芸品には100年以上の歴史を有する国指定の伝統的工芸品がありますが、その数は織物、陶磁器など15の業種で235品目にも及びます(参考文献3)。なかでも里山などの森林から原料をとる業種は多く、例えば、漆器(23品目)、木工品・竹工品(32品目)、和紙(9品目)などがあり、森林が生活に結びついて地域ごとの文化を形成していたことが分かります。漆器や竹細工などは日々の生活で使うものであり、民芸品にあてはまるのかもしれません。

■森の素材の使いこなし
松本民芸家具の記事でも紹介されていますが、木の家具は長く使え、手触りが良く、使い込むほど味がでてきます。工芸品や民芸品は材となる木や竹の種別毎に異なる様々な特性を巧みに使いこなして作り上げられているといっても良いです。様々な特性には、機械的強度、吸湿、殺菌、耐腐食性などの物理的・化学的特性に加え、地域の資源を枯渇させることなく使う木や竹の生育に関する特性もあり、これらの特性を文字通り適材適所に使いこなしていたのですね。更に民芸品では機能美も追及しており、その奥の深さが分かります。

■まとめ
木や竹の個々の特性を見極めたモノづくりは森林の近くに住む人たちにはあたり前の知識であったと思うのですが、画一的な工業製品に囲まれた今の目で見ると自然の素材を巧みに使う知恵そのものです。紙面の関係で木や竹の個々の特性を具体的に書くことは省きましたが、全国の私たち森林インストラクターは各地域に根ざした先人たちの知恵を次の世代につなげていくお手伝いが出来ればよいと思います。


参考文献1:GQ JAPAN「時代を超えて受け継がれた重厚さが面白い-松本民芸家具探訪記By 小川フミオ(2020年9月6日)」 (2020年9月20日閲覧)
https://www.gqjapan.jp/lifestyle/article/20200906-matsumoto-furniture

参考文献2:田中みなみ「生活用具としての伝統的工芸品」SPCIAL ISSUE OF JSSD Vol.8 No,2 2001 デザイン学研究特集号 (2020年9月20日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssds/8/2/8_KJ00001036058/_pdf

参考文献3:経済産業省ホームページ「伝統工芸品」(2020年9月20日閲覧)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html



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