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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2022年8月 増加する木造ビルについて考える

今月は近年増えている木造ビルの意外な効果に関する記事を受け、木造ビルの更なる環境配慮について考えてみたいと思います。

■増加している木造ビル
木材は人間に対して香りによるストレス軽減、血圧低下、免疫力向上、睡眠の質の向上など、様々な効果があると言われています。国の施策を背景に木造ビルの増加が進むにつれ、入居者からは愛着がわいてクレームが出てこないといった意外な傾向がみえてきているそうです(参考文献1)。

■木造構造物の様々な効果
このコーナーではこれまでもビルなどの木造構造物を取り上げてきました。新国立競技場の記事(2019年5月と2018年7月)では適材適所の利用や五輪終了後の再利用による資源循環、丁寧に木を取り扱うことの知恵などに触れました。2018年3月の高層建築の記事では素材から感じ取る四季を取り上げ、2017年11月にはガソリンスタンドの記事では木材の耐火性能や木造建築技術の継承の大切さに触れています。このようにその良さは多様です。

■土の活用
日本の木造建築には木に加え、土を使う文化があります。高度な左官技術が生み出す漆喰にはイタリア磨きなど様々な仕上げ方があり、高く評価されています(参考文献2)。漆喰仕上げの壁は美しく手触りが良いことに加え、シックハウス症候群やアレルギー反応の抑制にも役立ちますし、土が有する防火機能が科学的に調べられており(参考文献3)、その利用への期待が高まっています。

■まとめ
漆喰の壁は従来の鉄筋構造のビルの壁にも施されてきました。高級なホテルやレストランなどにも見られます。ウッドチェンジの動きに合わせ漆喰の壁も身近な存在に見直されるとよいと思います。

参考文献1:AERAdot「増加する木造ビルの意外な効果 顧客のクレームも減少へ(2022/7/14)」(2022年7月19日閲覧)
https://dot.asahi.com/wa/2022071300015.html?page=1

参考文献2:小林澄夫「左官礼賛」石風社,2001年

参考文献3:安井ら「木造土壁の各部仕様が防耐火性能に及ぼす影響」日本建築学会環境 系論文集 第567号,7−13,2003年5月 (2022年6月17日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/68/567/68_KJ00004078904/_pdf/-char/ja



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