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Forest Instructor Association of Japan

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2023年2月 2つの締約国会議について考える

今月は昨年末の話題ですが、2つの締約国会議COP(Conference of the Parties)である国連気候変動枠組条約の第27回締約国会議(COP27:2022年11月6日~20日にエジプトで開催)と生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15:2022年12月7日~19日にカナダで開催)について考えてみたいと思います。

■COP27とCOP15
COP27では気候変動リスクの確実な抑制に向けた目標「産業革命前からの気温上昇幅を1.5度以内に抑えること」の達成に向けた排出削減の継続、政府・民間企業・自治体・アカデミア・NGO等のステークホルダーの国際協力などを表明しました(参考文献1)。
COP15では2010年採択「愛知目標」の後継である2020年以降の世界目標として「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を採択し、生物多様性の観点から2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」などを合意しました(参考文献2)。

■COPの歩み
2つの条約はともに1992年に採択され、締約国数も両方とも190か国以上です。
気候変動に関しては、1997年のCOP3で2008年から2020年までの行動計画である京都議定書が採択されましたが、2013年からの第二約束期間で日本は離脱。その後、2015年のCOP21で採択されたパリ協定では、全ての国が参加し2020年以降の枠組みとして1.5度目標に合意しました。
一方、生物多様性に関しては、2010年のCOP10で採択された名古屋議定書で、その後10年の戦略計画が決まりましたが、目標達成が難しい状況の中、今回のCOP15に至りました。

■気候変動と生物多様性影響の関係性と共通課題
近年の異常気象から、生物多様性影響とCO2排出抑制は同時に語られるべきと感じます。実際に自然の変化を引き起こす直接的要因のなかで気候変動は、土地・海域利用変化、生物の直接採取に次いで3番目に影響が大きいとされています(参考文献3)。一方、上述した2つのCOPの動きから、先進国と途上国の立場の違い、経済発展と環境保全の両立の難しさ、などに起因する国際合意やその合意の遂行の難しさが見えてきます。着地点を探るには、生物多様性維持と気候変動抑制を俯瞰した施策に加え、社会や経済の視点からの分析も同時に必要です。広い知見が必要となる難しい問題ですね。

■身近な問題ととらえ行動することの大切さ
COP27ではNGOなどステークホルダーの国際協力の必要性が指摘されています。地球規模の環境問題は誰もがステークホルダーになり得ますし、広い知見を得るにためにも、扉は広く開かれているといえます。日本では、国際的環境問題を身近な問題としてとらえ自ら行動を起こすためのESD(Education for Sustainable Development)教育や(参考文献4)、個人の社会参加に求められる力を育む主権者教育(参考文献5)などが動き始めています。私たち森林インストラクターも様々な場面で森林ESDなどをサポートしており、この地道な取り組みを継続していきたいと思います。

参考文献1:環境省「COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)の結果概要について(2022/12/22)」(2023年1月14日閲覧)
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/20221222-topic-39.html

参考文献2:外務省「生物多様性条約第15回締約国会議第二部等の結果概要(2022/12/22)」(2023年1月14日閲覧)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page22_003988.html

参考文献3:環境省「環境白書令和4年度版」(2022年1月14日閲覧)
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r04/pdf/1_1.pdf

参考文献4:文部科学省国際統括官付、日本ユネスコ国内委員会「持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引(2021年5月改訂))」(2023年1月22日閲覧)
https://www.mext.go.jp/content/20210528-mxt_koktou01-100014715_1.pdf

参考文献5:文部科学省「小・中学校向け主権者教育指導資料「主権者として求められる力」を子供たちに育むために」(2023年1月22日閲覧)
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00085.html



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