本文へスキップ

Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2023年3月 森林整備によるカーボン・オフセット用クレジットの活用について考える

今月はJ-クレジット制度を適用して森林整備から得られたクレジットをカーボン・オフセットとして活用する記事がありましたので、クレジットの活用について考えてみたいと思います。

■広島県「間伐による森林吸収プロジェクト」
広島県では県営林が対象の「間伐による森林吸収プロジェクト」にJ-クレジット制度を適用し、温室効果ガスの吸収によるクレジットを創出しています。そのクレジットはカーボン・オフセット用に販売すること新たな森林整備の財源となり、持続的な地球温暖化防止や水源林育成に取り組んでいるそうです(参考文献1)。

■J-クレジット制度
J-クレジット制度は省エネルギー設備の導入や森林経営などによる温室効果ガス排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度で、創出されたクレジットの活用を通じ地球温暖化対策の取組み加速を目指すものです。森林分野では森林経営の施業、植林、再造林が対象となり、当該森林の成長による吸収量がクレジットとして認証申請できます(参考文献2)。

■森林の手入れとクレジット制度
クレジットには放っておいては進まない追加的な施策による温室効果ガスの吸収分がカウントされます。加えて森林吸収クレジットでは炭素を固定し続ける永続性も求められます(参考文献3)。森林の手入れが様々な問題で進まないからこそ、この追加性が認められて広島県のような取り組みが進んでいます。
一方でクレジットの活用に頼ってしまうと森林の手入れがいつまでも経済的に自立できなくなる可能性もあります。今はクレジットを活用しながら森林の手入れを活性化させつつも、将来を見据えた計画も大切ではないかと思います。

■まとめ
筆者は10年以上前に温室効果ガスの削減や吸収によるクレジット制度の国際枠組みの調査に関わったことがあります。その時は追加性の証明が大変で、この制度がなかなか普及しませんでした。その後、国際ルールは改善が進み、そのルールを参照しているJ-クレジット制度も独自に改善してきています。使いやすくなってきた制度をうまく活用し、必要によっては更に制度そのものをより良くし、森林整備が広がり無理なく継続することが望まれます。

参考文献1:広島県「広島県県営林ではカーボン・オフセットで使用できるクレジットを取得・販売しています(2023/1/20)」(2023年2月8日閲覧)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/87/keneirinjversyutoku.html

参考文献2:林野庁「J-クレジット制度とは」(2023年2月8日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/J-credit.html

参考文献3:J-クレジット制度事務局「J-クレジット制度について~森林管理プロジェクトを中心に~(2023年2月)」(2022年2月8日閲覧)
https://japancredit.go.jp/data/pdf/credit_005.pdf



バックナンバー

バックナンバーはこちらから

お知らせ
イベント
活動報告
生物多様性と子どもの森
グリーンウェイブ参加登録
土曜学習応援団
会員が書いた本
森林インストラクター地域会
Newsを考察
安全管理
サイトマップ

一般社団法人 日本森林インストラクター協会

〒112-0004
東京都文京区後楽1-7-12
林友ビル6階

アクセス


TEL/FAX  03-5684-3890    

問い合わせはこちらから