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2023年9月 首里城正殿の再建工事の梁材搬入

今月は、首里城正殿の再建工事における梁のヒノキ材搬入のニュースから、限りある資源の活用について少し考えてみたいと思います。

■首里城正殿の梁が現地に搬入
首里城正殿の再建工事において、天井額木と呼ばれる正殿の玉座の真上に使われる梁が8月7日に搬入されました。搬入された材は長さが3.8メートル、高さと幅がおよそ40センチと24センチの奈良県産ヒノキで、世誇殿などの建築に関わった木彫刻家がおよそ2カ月かけて制作した彫刻が施されています。構造材の搬入は初めてで、2023年9月中にくみ上げ作業を行うそうです(参考文献1)。首里城正殿の復元は国営公園事業として令和8年(2026年)の完成を目指しています。また、沖縄県では「首里城火災に係る再発防止策(令和3年4月)」に基づく管理体制も検討しています(参考文献2)。

■首里城正殿に使われる木材
正殿の再建には国産ヒノキのほかに、小屋丸太梁材の一部に沖縄県産オキナワウラジロガシ、向拝柱にはイヌマキ(沖縄ではチャーギ)など、往時の姿を推定しながら、適材適所に木材種を決めています(参考文献3)。オキナワウラジロガシの利用では、沖縄県内の調査を経て当初の6本の利用計画が、象徴的な部位となる御差床両端2本と予備材1本の計3本に変更されるなど、材の調達の難しさが分かります(参考文献4)。

■将来への備え
イヌマキを用材として首里城に活用するには樹齢50年から200年が必要とされ、沖縄の県営林では、およそ1200本のイヌマキが植えられ、将来の首里城の修復に備えているそうです。ちなみに前回の平成の復元では、沖縄戦や伐採の影響でイヌマキの調達がかなわなかったそうです。また、オキナワウラジロガシについても同様に後継木の苗木育成が沖縄県内で進んでいます(参考文献4)。

■まとめ
近年、お城などの再建ではなるべくオリジナルの姿で復元する動きが見られます。名古屋城天守閣の復元では木曽のヒノキや岩手県産の松なども利用されています。この場合も、次の世代に向けた木を育成がなされています(参考文献5)。このような資源を枯渇させない資源循環の取り組みにも、もっと焦点があてられるとよいですね。ちなみに、今回、沖縄にヒノキを出荷した奈良県の現場は森の管理を長年行っていた場所だそうです。

参考文献1:NHK沖縄NewsWeb「首里城正殿の再建工事 「天井額木」搬入を公開(2023/8/7)」(2023年8月15日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230807/5090024523.html

参考文献2:首里城公園ホームページ「首里城復興へのあゆみ」(2023年8月12日閲覧)
https://oki-park.jp/sp/shurijo/fukkou/7022

参考文献3:内閣府沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所「首里城復元に向けた技術検討について(令和4年1月30日)」(2023年8月14日閲覧)
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/matidukuri/houkokukai/R040130/PDF_ogb_document.pdf

参考文献4:沖縄県公式首里城復興サイト「首里城正殿に用いる県産木材調達の取組について(2022/2/14)」(2023年8月13日閲覧)
https://www.shurijo-fukkou.jp/topics/1644815840/

参考文献5:名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所「市民とともに森を育成」(2023年8月15日閲覧)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/guide/honmarugoten/mori/



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