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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2024年6月 シカの被害について考える

今月はニホンジカ(以下ではシカと記します)の被害のニュースから見えてくる、様々な課題について少し考えてみたいと思います。

■林業現場の現状
栃木県佐野市の林業現場は10年前からシカの被害が急増し、対策を考えざるを得なくなったそうです。猟師の高齢化もあり、ワナを工夫しています。シカとの共存を目指してきたものの、やむを得ない対応とのこと。林業現場では森林の公益的機能の維持するためにも500年維持してきた森林を次の世代に引き継ぎ、有効活用されることを期待しています(参考文献1)。

■全国で広がるシカの被害
シカの被害は全国に広がっており、自然公園での被害、希少種への影響、農林業被害などが見られ、その原因は猟師の減少と高齢化、放棄地の増加、えさとなる植生の増加、などが考えられています。国は科学的・計画的な鳥獣保護管理の総合的な対応として、個体数管理、被害防除対策、生息環境管理などを進めています(参考文献2)。

■生態系全体への影響
上述したシカの被害の中でも、先月のモウソウチクの話題と同様に温暖化はその影響をより複雑にしています。温暖化によるシカの生息域の拡大により、高山植物などの希少な植物が影響を受け、生物多様性への影響を大きくしています。昨年は南アルプス国立公園でニホンジカの捕獲対策がとられるなど(参考文献3)、待ったなしの状況です。

■まとめ
紙面の関係で触れませんでした資源や経済の循環という視点では、シカのジビエ利用も期待されています(参考文献4)。環境省のアンケート調査では、シカの問題への認知度が高いほど、シカ対策に積極的な傾向が示され、環境省はシカの問題を周知する取り組みに力をいれているそうです(参考文献5)。今回紹介したようにシカの問題は様々な視点からの対応が必要です。私たち森林インストラクターも様々な視点から情報発信を継続していきたいと思います。


参考文献1:TBSテレビnews23「「この森、使いものになりますか?」深刻化するシカの食害 シカから森林を守るためには?共生するためには?(2024/5/4)」(2024年5月14日閲覧)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1151949?display=1

参考文献2:環境省ホームページ「いま、獲らなければならない理由」(2024年5月17日閲覧)
https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5/imatora_fin.pdf

参考文献3:環境省南アルプス国立公園「お知らせ 南アルプス国立公園 仙丈ヶ岳馬ノ背でのシカ捕獲について(2023/6/9)」(2024年5月19日閲覧)
https://www.env.go.jp/park/page_00330.html

参考文献4:農林水産省農村振興局「捕獲鳥獣のジビエ利用を巡る最近の状況(令和5年6月)」(2024年5月19日閲覧)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_kensyu/attach/pdf/R5/r5kensyu-060.pdf

参考文献5:環境省ホームページ「シカが日本の自然を食べつくす !?」 (2024年5月16日閲覧)
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/about/pdf/meaning02.pdf



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