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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2024年12月 クリスマスツリーから環境と文化について考える

12月ですので皆さんが楽しむクリスマスツリーについて、環境や文化の面から少し考えてみたいと思います。

■環境への配慮が進むクリスマスツリー
近年、クリスマスツリーも環境への配慮が進んでいるニュースを耳にします。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとして、部材のリサイクル再利用、電球の省エネ化、(参考文献1)、海洋ごみや流木の利活用などの取り組みも見られます(参考文献2)。一方、欧米では各家庭で人工的に育てられたトウヒの仲間などの生木を飾ることが多く、回収して堆肥やチップなどへの再利用も進むなど、環境への配慮はライフサイクルに渡ります(参考文献3)。

■生木のツリーと人工のツリーの環境負荷比較
ライフサイクルアセスメントという手法を用いた米国クリスマスツリー協会の調査では、生木のクリスマスツリーと人工のクリスマスツリーの環境負荷を比較すると、人工のツリーは製造時の負荷が大きいため、生木のツリーと同等の負荷になるには、人工ツリーを4.7年使い続ける必要があるそうです。環境への配慮する場合、人工のツリーの場合は長期の利用、生木のツリーの場合は堆肥になるようなリサイクルが大切であると指摘しています(参考文献4)。クリスマスツリーを飾る時は国や地域のそれぞれの習慣に倣いつつも、環境負荷が一層削減されると良いですね。

■昔から身近な存在だったモミ
ここで少し話題を変えます。日本でクリスマスツリーの代表的な木と言えばモミではないでしょうか。モミは秋田から屋久島まで広く分布し、建築物から、建具、包装、器具、棺、かまぼこの板、パルプ材、に至るまで、様々な場面で利用されてきました。白木で匂いが少ない特性は包装やかまぼこの板に活かされ、棺への利用では白木の清浄な雰囲気が日本人の感性に合ったのだと言われています。諏訪の御柱際で有名な木落としもモミの木の仲間が利用されています。日本でクリスマスツリーを飾り始めたのは明治時代と言われていますが、それ以前からモミは私たちの生活のなかで身近な存在だったのです。

■まとめ
今回はクリスマスツリーの環境配慮への取り組みとモミと人との関りについて少し触れました。山手線の駅である代々木という地名の由来はモミと言われており、江戸時代には街の目印になるほどのモミの巨樹が立っていたそうです(参考文献5)。一方、モミは大気汚染に弱い木です。環境への配慮が進み、都心に以前の様に元気にモミが育ってクリスマスを楽しむことができると良いですね。


参考文献1:NHK News Web「近づくクリスマス 各地で「SDGs」意識し環境へ配慮する動きも(2023/12/3)」(2024年11月10日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231203/k10014276491000.html

参考文献2:産経新聞「海プラごみのクリスマスツリー 伊藤忠商事(2022/12/12)」(2024年11月10日閲覧)
https://www.sankei.com/article/20221212-26HZSRUDZ5IIJPMZN25JJC3CJI/

参考文献3:ニューズウィーク日本版「毎年2000万本以上も廃棄されるドイツのクリスマスツリー問題(2018/12/25)」(2024年11月16日閲覧)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/12/2000-1.php

参考文献4:ビッグイシュー・オンライン「生のモミの木と人工クリスマスツリー、環境負荷が高いのはどちらか(2023/12/18)」(2024年11月15日閲覧)
https://bigissue-online.jp/archives/1078280072.html

参考文献5:環境省、生物多様性センター「先人が思い描いた100年の森の巨樹 東京都明治神宮」(2024年11月17日閲覧)
https://kyoju.biodic.go.jp/?_action=gtcontents&_command=modelCourse002



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