今月は2033年に向けて執り行われる三重県・伊勢神宮の式年遷宮の御神木となる木曽ヒノキ伐採の合同練習の記事から、木の文化を継承する知恵について考えてみたいと思います。
■木曽ヒノキを伐採する練習が開始
式年遷宮で御神木となる木曽ヒノキを伐採する御杣始祭(みそまはじめさい)の合同練習が長野県の王滝国有林で行われました。御杣始祭は今年の6月に予定されており、伐採には伝統的手法である「三ツ紐伐り(みつひもぎり)」が用いられます(参考文献1)。伐採したヒノキは「御樋代木(みひしろぎ)」と呼ばれるご神体をお納めする御器に利用されます。
■式年遷宮
式年遷宮は20年に一度、社殿や御装束神宝をはじめ全てを新しくして、大御神に新宮へお遷りいただく神宮最大のお祭りです。内宮(ないくう)と外宮(げくう)の両正宮を始め、14所の別宮や宇治橋などを造り替える1300年続く行事です(参考文献2)。大御神が新宮へ移る2033年に向け、今年からその行事が始まります(参考文献3)。
■20年毎の意味
ところで、数百年もの耐久性がある良質のヒノキ材を20年毎に更新する意味はどこにあるのでしょうか。諸説あるようですが、一つに技術継承説があります。20年という期間は江戸時代の人間の寿命でも技能者が2度遷宮に携わることができ、技術やノウハウを次の世代へ継承していくのに合理的であるという理由です(参考文献4、5)。近年は担い手不足から「三つ紐伐り保存会」を発足させ、技術やノウハウを次世代へ継承しています(参考文献6)。この様な地域に根付いた地道な取り組みは技術の継承に大切です。
■まとめ
式年遷宮を継続するには世代を超えた森林整備も必要です(参考文献7)。国土交通省白書2014(参考文献5)でも指摘していますが、社会インフラの維持管理・更新が大きな社会問題となっている今、1300年前から続いてきたこの仕組みから学ぶべき点も多いと思われます。「絶対壊れない」という発想ではなく、また「作ることが目的」でもない、自然の素材の特性を受け入れ時代を超えてその素材を使いこなす知恵を継承していくところに、木の文化が感じられます。20年に一度、木の文化を再考できることも絶妙なタイミングですね。
参考文献1:長野朝日放送「伊勢神宮式年遷宮に向け 木曽ヒノキ伐採の伝統技術を披露!(2025/3/14)」(2025年3月16日閲覧)
https://nordot.app/1273165319877739153?c=1179248089549373591
参考文献2:伊勢神宮ホームページ「式年遷宮」(2025年3月16日閲覧)
https://www.isejingu.or.jp/sengu/
参考文献3:読売新聞オンライン「「20年に1度」伊勢神宮の式年遷宮、来年から儀式開始…資材や人件費高騰でコスト面には懸念も(2024/4/10)」(2025年3月16日閲覧)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240410-OYT1T50029/
参考文献4:福岡教育連盟ホームページ「伊式年遷宮に見る日本人の精神(2013/11/1)」(2025年3月16日閲覧)
https://www.fenet.or.jp/opinion/id/46
参考文献5:国土交通白書2014「コラム 式年遷宮に見る技術継承と技術者確保」(2025年3月16日閲覧)
https://www.isejingu.or.jp/sengu/
参考文献6:市民タイムズWEB「三ツ紐伐りの技 次代へ 木曽地域の保存会員ら 東濃の国有林で研修会(2023/9/9)」(2025年3月16日閲覧)
https://www.shimintimes.co.jp/news/2023/09/post-23111.php
参考文献7:林野庁ホームページ「式年遷宮に先人たちの森林整備の成果」(2025年3月16日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/25hakusyo/pdf/2gtopics.pdf
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