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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2025年5月 止まらない桜のカミキリ被害

今月は全国で拡大が止まらないクビアカツヤカミキリによる桜の被害について、改めて考えてみたいと思います。

■群馬県の公園の桜の3割近くが被害に
群馬県前橋市の公園では、昨年、園内の桜の3割近くがクビアカツヤカミキリの被害を受けていたことが分かり、市は木に殺虫剤を注入するなどの対策を始め、公園の利用者に対して成虫を見つけた場合は連絡するよう呼びかけています。クビアカツヤカミキリは中国などが原産の特定外来生物に指定されており、全国15都府県で被害が確認されています(参考文献1)。

■止まらない被害
クビアカツヤカミキリによる桜の被害については2022年9月にこのコーナーで取り上げました。その記事では、外来種の水際対策の重要性、自治体による一般市民への情報提供の呼びかけや注意喚起、進む調査活動、などを紹介しました。そのような動きに関わらず、なかなか被害を食い止めることが難しいのですね。

■外来種による拡大の速さ
以前もこのコーナーで触れましたが、クビアカツヤカミキリは外来種ゆえにその拡大の早さが懸念され、早めの対策の必要性が指摘されています(参考文献2)。近畿地方では2021年から2023年に調査が行われ、①拡大範囲が年間3km以内であること、②バラ科の果樹園の有無や桜の密度などに影響すること、③人為的な原因が疑われる長距離移動が存在すること、等が分かってきており、改めて早期発見と早期駆除の重要性が示されています(参考文献3)。

■まとめ
今回は2022年9月に取り上げた話題を再度繰り返したかたちになりました。今も拡大が進んでいる状況です。同じ話題であっても繰り返し取り上げることも意味があるのかもしれません。このような外来種の拡散の状況が全国で共有できる仕組みも大切だと思います。


参考文献1:NHK 群馬 NEWS WEB「前橋公園の桜も「クビアカツヤカミキリ」の被害 市が対策開始04月15日(2025/3/15)」(2025年4月18日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20250415/1060019416.html

参考文献2:田村繁明、加賀谷悦子「日本におけるクビアカツヤカミキリの分布拡大の経過」森林総合研究所、森林科学89巻 (2020)、(2022年8月16日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/89/0/89_21/_pdf/-char/ja

参考文献3:森林総合研究所「クビアカツヤカミキリの対策のポイント(2024/4/10)」(2025年4月18日閲覧)
https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/2forest/09for-entom/documents/shinrinken_report_p6_03013.pdf



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