今月は自動車産業におけるバイオマス燃料利用のニュースから、地球温暖化の問題と対応について、少し考えてみたいと思います。
■鋳造設備の溶解炉燃料にバイオマスを利用
(株)ダイハツメタルとダイハツ工業(株)は、生産カーボンニュートラルの実現に向け、鋳造設備のキュポラ溶解炉の燃料に両社共同で開発したバイオマス燃料「バイオブリケット」の使用を開始したそうです。将来的には多様なバイオマス燃料の活用に取り組み、2035年には置換率100%(コークス不使用)を目指しています(参考文献1)。
■背景にある地球温暖化問題への対応要求の高まり
ものづくりの現場では、地球温暖化問題への対応として、材料採掘から廃棄に至るサプライチェーンを通じたCO2排出量の見える化とその管理が国際的に求められはじめています(参考文献2)。そこで、多くの製造業では調達先や製造現場でのCO2排出量の定量化と抑制が求められています。
■バイオマス燃料への期待と課題
バイオマスの利用は地球温暖化の問題への対応としてはカーボンニュートラルな燃料源として注目が集まっています。加えて廃棄物問題への対応も期待されています(参考文献3)。一方で、安定した燃料供給は多くの燃料種で共通の課題と言えます(参考文献4)。今回の事例ではバイオマス燃料として、地域資源である廃菌床とバーク(樹皮)を使用しています。安定した供給の継続が期待されます。
■まとめ
日本は2050年のカーボンニュートラルを目指しています。ただ、そのためには並大抵の努力では実現できないとし、日本政府はエネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった成長戦略を策定しています(参考文献5)。今回の取り組みがその一つとなるとよいですね。温度上昇を産業革命から1.5度に抑える目標達成が困難といわれる中、様々な取り組みの情報が共有されて、バイオマス燃料が安定的に活用される様々な仕組みが出てくることが期待されています。
参考文献1:Car Watchニュース「ダイハツメタルとダイハツ、キュポラ溶解炉でバイオマス燃料「バイオブリケット」を使用開始(2025/11/14)」(2025年11月15日閲覧)
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/2063276.html
参考文献2:環境省ホームページ「脱炭素ポータル-脱炭素社会の実現に向けた温室効果ガス排出量の算定」 (2025年11月16日閲覧)
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/feature-07.html
参考文献3:林野庁ホームページ「なぜ木質バイオマスを使うのか」(2025年11月15日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/con_2.html
参考文献4:林野庁「バイオマスの利用の現状と課題」(2025年11月16日閲覧)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/b_kihonho/local/attach/pdf/keikaku_sakutei-174.pdf
参考文献5:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」 (2025年11月16日閲覧)
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html
〒112-0004
東京都文京区後楽1-7-12
林友ビル6階
TEL/FAX 03-5684-3890
問い合わせはこちらから
