今月は筏師のニュースから、自然と人との関わりについて考えてみたいと思います。
■筏師さんたちが話題に
和歌山県の北山村で筏(いかだ)を漕ぐ筏師さんたちが話題になっているそうで(参考文献1)。北山村では1963年に筏流しが途絶えたものの、地域住民の声もあり、1979年には観光事業として復活しました。筏師の高齢化が進むと、後継者育成事業を開始し、I・Uターン者を育成し、今回、注目浴びている16人の筏師さんにつながっているそうです(参考文献2)。
■日本全国に見られた筏流しと様々な工夫
筏流しは日本全国にみられました。高瀬舟で有名は岡山県の旭川では昭和の初めには筏師が100人以上いたそうです(参考文献3)。先月紹介した埼玉県入間市の西川材も隅田川を経て江戸に運ばれていました。その場所は今の新木場です。地名に歴史を感じますね。運ぶ途中には難所も多く、様々な工夫がなされ、筏師にも優れた技術が求められたようです(参考文献4)。秋田県の米代川では、水が不足すると堰をつくって一気に押し流す鉄砲堰(てっぽうぜき)という工夫が行われていました(参考文献5)。全国に見られた筏流しは、ダムや堰の建設に伴い、1960年代には見られなくなっていきました。
■自然と結びつく地域の文化
ところで、古くから都の造営や寺院の建立のための用材を伐り出す山林である杣山(そまやま)を有する滋賀県琵琶湖近くの安曇川(あどがわ)では、筏流しをまもる神様であるシコブチさんが流域に祀られているそうです。現在でも川の流れが急な所や川の合流点に設けられた作業場の近くなどに十数の神社が点在し、山の恵みと水の恵みを利用した生活を神様に見守るという、人と自然をつなぐ文化を今に伝える貴重な存在とのことです(参考文献6)。日本人が培ってきた自然への畏敬の念も感じ取ることができます。
■まとめ
吉野熊野国立公園の「北山川・瀞峡」では、筏流し後に筏師が上流に歩いて帰る道を「筏師のみち」として整備し、近畿自然歩道の一部としているそうです(参考文献7)。山を歩きながら筏師を知り、安曇川に根付く事前と人々の暮らしをつなぐ文化に思いを巡らしてはどうでしょう。
参考文献1:LIMO(リーモ)「【全国で16人しかいない】和歌山県の村に集まった男性たちに注目集まる「惚れてまう」 (2026/5/11)」(2026年5月12日閲覧)
https://limo.media/articles/-/123464
参考文献2:林野庁ホームページ「東京大学 柴崎茂光『日本の林業遺産を知ろう!北山川の筏流し技術』」林野 2024.1 No.202 (2026年5月12日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/kouhousitu/jouhoushi/attach/pdf/0601-7.pdf
参考文献3:岡山河川事務所「旭川の歴史・文化(テーマ別)」 (2026年5月14日閲覧)
https://www.cgr.mlit.go.jp/okakawa/kouhou/kyougikai/asahikawa_kondannkai/kondankai6/pdf/s-3-4.pdf
参考文献4:飯能市郷土館「荒川上流河川事務所『荒川の筏流し~飯能から東京まで5日かかった木材運搬~』」 (2026年5月12日閲覧)
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000680114.pdf
参考文献5:東北森林管理局仁別森林博物館「伐木・運材の歴史」(2026年5月13日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/introduction/gaiyou_kyoku/nibetu/6_batuboku/index.html
参考文献6:安曇川流域文化遺産活用推進協議会「筏流しとシコブチ信仰」(2026年5月13日閲覧)
https://takashima-bunkaisan.jp/bunkaisan/shikobuchi.php
参考文献7:環境省アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]「どこか懐かしさを感じる近畿自然歩道『北山峡筏師のみち』(2024/6/19)」(2026年5月13日閲覧)
https://kinki.env.go.jp/blog/yoshino/a-kumano/page_00001.html
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