本文へスキップ

Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2025年3月 木質系バイオマス発電についての再考

今月は木質系バイオマス発電のニュース記事がありましたので、同発電について再考してみたいと思います。

■輸入燃料利用の発電システムが再生可能エネルギー導入推進制度から除外へ
経済産業省は輸入燃料利用のバイオマス発電システムを再生可能エネルギー導入推進制度(FITやFIP制度:後述)から除外する方針を示しました(参考文献1)。その理由として、木質系バイオマス発電の発電コストは燃料費が多くを占め、特に輸入燃料については為替の影響など課題が多く、将来的に自立して事業を推進する見通しを得にくいことが指摘されています。加えて、継続的な運用を把握するため、バイオマス比率の報告や指導の必要性も指摘しています。

■FIT・FIP制度とは
FIT制度とは再生可能エネルギーの固定価格買取制度の略称で、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。一方、FIP制度とはフィードインプレミアム(Feed-in Premium)の略称で、FIT制度のように固定価格での買取ではなく、発電事業者が卸市場などで売電したときの売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せするもので、発電事業者の再エネ投資へのインセンティブ確保が期待されています(参考文献2)。

■木質系バイオマスの燃料供給の難しさを過去にも考察
2023年8月のこのコーナーでは、バイオマス発電が輸入燃料に基づく大規模発電と未利用材を燃料とした小規模熱電併給の二つの方向に進むこと、地域の実情に即した燃料供給体制の確立が重要であること、輸入燃料の伐採プロセスをチェックすること、を指摘しました。今回の輸入燃料の再生可能エネルギー導入推進制度からの除外は、海外での燃料調達プロセスに潜む懸念が継続していることや、その対応の難しさを示しているのだと思います。

■まとめ
先月4年ぶりにエネルギー基本計画が閣議決定されました(参考文献3)。電力需要の増加が見込まれる中、再生可能エネルギーについては長期の安定電源化を目指すとしています。バイオマス発電の比率は2030年の4.1%が2040年(見通し)で5~6%と伸びは他の再生可能エネルギーよりも小さく、燃料供給確保の難しさが影響しているものと思われます。地域に根差した持続可能な木質系燃料の調達プロセス構築が望まれます。


参考文献1:日経BP「輸入木材による大規模バイオマス発電、FIT・FIP支援を打ち切りへ(2025/2/6)」(2025年2月17日閲覧)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04792/?ST=msb

参考文献2:経済産業省資源エネルギー庁「再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート(2021/8/3)」(2025年2月19日閲覧)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fip.html

参考文献3:経済産業省資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました(2025/2/18)」(2025年2月19日閲覧)
https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218001/20250218001.html



バックナンバー

バックナンバーはこちらから

お知らせ
イベント
活動報告
生物多様性と子どもの森
グリーンウェイブ参加登録
土曜学習応援団
会員が書いた本
森林インストラクター地域会
Newsを考察
安全管理
サイトマップ

一般社団法人 日本森林インストラクター協会

〒112-0004
東京都文京区後楽1-7-12
林友ビル6階

アクセス


TEL/FAX  03-5684-3890    

問い合わせはこちらから